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2013年7月アーカイブ

要件定義の進め方

 ある程度の規模がある情報システムを構築しようとする場合、「要件定義」と 呼ばれる作業フェーズを実施します。要件定義には一般的な書式や決まったルールが存在しないため、「どこから手を付けていいかわからない」や、「具体的な 成果物のイメージがつかない」といった声をよく聞きます。

 このコラムでは要件定義の進め方とコツを紹介します。あわせて類似する用語である要求定義についても言及します。

【システムのあるべき姿を整理する作業】

 要件定義は上流工程であると言われます。その名前からなのか、「学術的にあるべき姿があり、それに従うべきだろう」と思う方も多いようです。

 1つやってみないと理解が難しいのですが、要件定義の手法そのものについて難しく考える必要はありません。要件定義は要件を生み出す作業ではなく、要件を整理していく作業です。

 どのようなシステムであっても要件定義を始めようとするときは、もやもやしていたり断片的であっても、システムでやりたいことや機能のイメージがあるかと思います。要件定義とはそれを整理する作業なのです。

【最も重要なこと。ビジネスの成果】

 企業の情報システムはビジネスの成果を獲得するために開発・運用されます。ですから要件定義では最初に「獲得すべきビジネスの成果」をしっかり記述することから始めます。このシステムによって何がもたらさせるかを明確にするのです。

 続いて「情報システムを使ってビジネスの成果をどのように獲得するか」を具体的に考え、整理していきます。具体的な内容が数ページにわたって書かれることが多く、大事な部分です。

 この部分の検討は普段の情報収集がものを言います。たとえば、定型業務で普通のPCが使いにくい場所であれば、iPadの利用を検討できると良いかもしれませんし、大量のデータから情報収集が必要なのであれば、レスポンスを確保する手法を知っている必要があります。

 ただし、すべての技術的課題をクリアできなくても大丈夫です。知識量が不足する場合は、ネットで調べて予想を立てたり、その分野に長けたベンダー に問い合わせたりして、ある程度は解決できるはずです。最後まで確証が持てない事項は、調査課題として要件定義書の中に明記し、後で解決することにしま しょう。

 要件定義書の書式や構成には、特にこれといった決まりがありません。登場人物が多くアクションが流れるようにつながっているなら、ワークフローを 書きますし、単独の業務システムで画面の流れが重要なら、画面遷移図を書いたりします。いずれにしろ大事なのは、押さえるべきポイントを次々と洗い出し、 整理しきってしまうところにあります。

【要求定義という罠】

 要件定義と類似した響きをもつ「要求定義」という言葉があります。確かに満たすべき性能を定義する必要があるときは、「要求定義」と呼ばれる作業 が必要なときもあるでしょう。大がかりなシステム構築における要求性能の定義がそれにあたります。例えば「チケットの予約システム」や「決済システム」な どです。どの部分でどのような性能が達成されるべきなのか、注意深く調べて決定していく作業を行うのです。

 しかし、要求定義は要件定義の内側としてとらえた方が、私は良いと思います。システム構築と運用は、ビジネス活動の一部ですから、コストを度外視することはできません。実現方法を無視して定義してしまうと、無駄に高コストになりがちです。

 繰り返しになりますが、要件定義には「情報システムを使ってビジネスの成果をどのように獲得するか」を具体的に書くべきです。欲しい物を列挙するのではありません。

【何を書いて何を書かないか】

 要件定義を進めていくと、どこまで細かいことを書くべきかで悩むときがあるかと思います。明確な基準はありませんが、次の2つを念頭に置いてください。

 1)以降の設計作業へ検討を先送りしても心配がいらない事項は記述を省略する。

 2)1に該当しても、ビジネスにとって重要と思われる事項は要件定義書に記述する。

 要件定義はそのあとに続く設計作業のインプット、つまり前提条件となります。ですから設計時に気にすべき事項は、要件定義書に記述しておくべきで す。あまりたくさんの内容を詰め込みすぎて、要件定義自体に許容できない日数がかかってしまうと問題ですが、そうでなければ記述する範囲は少々多めがよい と考えてください。

【はじめての方にもお勧めできるコツ】

 前述したとおり書式に制約はありません。ドキュメントを作成するためのツールも使い慣れたもので良いと思います。文の折り返しが自動で行われるWordが良いといった意見もありますが、大事なのは書式ではなく、的確に要件を整理することです。

 はじめての方にもお勧めできるコツを1つご紹介します。MicrosoftのPower Pointや、AppleのKeynoteを使い、プレゼン資料のように1ページに1つのポイントを記述する方法です。ページの並び替えが容易なので、全体の構成をしっかり考えられなくても作業を進めることができます。

 最後に要件定義書を作成する際のポイントをおさらいします。是非参考にしてください。
 ・「獲得すべきビジネスの成果」が最も重要です。しっかり記述してください。
 ・実現方式も一緒に検討して整理してください。要求事項の列挙は要件定義ではありません。
 ・細かい事項で書くべきか迷ったら、書くことを選択しましょう。気になる事項はシステム要件の一部です。

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【付録】

 プレゼン資料のように要件定義書を作成した場合の、ページ構成の例をご紹介します。ヒントにしてください。

 例:飲食店の予約システム(インターネットで予約を受け付けるシステム)

 ・システムの目的とビジネス目標
 ・全社のシステムにおける本システムの位置づけ
 ・対象の業務とシステム化の範囲
 ・プロモーションの方法と内容
 ・予約枠の概念
 ・電話からの予約受付方法
 ・予約の重複を避ける手法
 ・予約データの分析
 ・外部システムとの連携
 ・データ分析機能
 ・システム構成
 ・システム二重化による安全性の確保について
 ・サーバー構成
 ・UIデザインに対する要求事項
 ・性能要件
 ・予算
 ・スケジュール


※このコラムは弊社のサービス「受託システム開発」およびソフトウェア製品「Page Palette」のご紹介になります。

 私たちコンポーネントデザインでは、iPadの日本発売と同時にiPadを利用したソリューション提供を開始し、これまで多数のお客様にiPadアプリのプロダクトやiPadを活用した業務システムを提供してきました。

 このコラムでは、ビジネスにiPadを導入するときの代表的な成功パターン「iPadを営業ツールとして利用する方法」をご紹介します。

iPadシステム開発

【顧客に見せるツール】

 私が数多くのiPadの活用事例を見てきた中で、ビジネスにおいて最も効果を発揮するのは、iPadを営業ツールとして利用した場合です。

 iPadで実現する営業ツールには、営業マンのために訪問先の地図を表示したり、営業管理のために営業結果を登録したりするものがありますが、ここで紹介するのは「顧客に見せながら操作するタイプの営業ツール」です。

 iPadは、その形状から顧客に見せながら操作することに向いているうえ、スタイリッシュで見栄えもよく、適切に設計されたアプリを利用すれば、自社の商品やサービスをスピーディに紹介することができます。

 この「顧客に見せる」というコンピュータの使い方はiPadの登場がもたらした大きなイノベーションのひとつなのでしょう。


【電子カタログから導入、専用の営業ツールも】

 「顧客に見せる」使い方で、もっとも導入しやすく、効果を上げやすいのは、iPadを電子カタログとして利用することです。

 電子化により大量のカタログを無理なく持ち運ぶことができるため、顧客の要望に応じた商品情報をいつでも見せることができるようになります。最近ではカタログ表示から一歩進めて、専用の営業ツールを作成する企業が増えてきました。

 商品やサービス導入後の顧客のメリットをシミュレーションしてグラフで視覚的に見せたり、顧客が重視するポイントを指定してお勧めの商品を検索したりするのです。

 顧客が気に入る商品やサービスが発見できたら、その場でPDFの見積書を作成して顧客にメール送信したり、クラウドやiPadに記録して後から呼び出せるようにしたりすることができます。


【iPadアプリ導入時に確認すべきポイント】

 iPadアプリの営業ツールを導入する際は、プロダクトを選択する場合でも、自社の専用ツールを開発する場合でも、実運用への適合性に十分注意する必要があります。具体的なポイントを以下に列挙します。

 ・オフラインで使えるか(電波の届かない場所で使えるか)
 ・操作性は自然か(顧客対応中にまごつくことがないか)
 ・アプリの安定性はあるか(操作中にアプリが落ちたりしないか)
 ・データ・コンテンツの差し替えが容易か(運用は簡単か)


【お勧めはスモールスタート】

 コンポーネントデザインでは、お客様が新たにiPadの営業ツールを導入する場合はスモールスタートをお勧めしています。

 最初から多数の機能を提供するより、最も効果的と考える機能を小さく実装して実運用してみるのです。運用開始前は気づかなかったポイントを早期に見つけることで、最良の費用対効果を実現できます。

 肝心の費用感については、独自の営業ツールを開発する場合、200~500万円程度を目安にすると一定のものが開発できると思います。

 さらに低コストでスタートしたい場合は、既にあるソフトウェア製品をそのまま使うか、それに対してカスタマイズを行い、自社仕様にする方法などがあります。この場合の目安は50~300万円程度です。

 <PR> 弊社製品 iPadドキュメントツール「Page Palette」をお使い頂くと、iPad1台あたり月額500円(1年契約、iPad10台以上の場合)で電子カタログを運用できます。こちらも合わせてご検討ください。


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